マッチが残っていないジャズ喫茶(7)

最近行く店にはもう初めからマッチが無いことが多い

原宿

屋根裏の
ペトロフ
原宿に新しいジャズ喫茶が出来たと聞いて、住所を頼りに一度探したのだが、その「藤屋楽坊」は一向に見つからず断念していた。原宿竹下通りをネクタイ締めて歩くのは結構大変なのだ。 再チャレンジしたのだが、住所からWebで調べた地図では発見できない。 竹下通りを下りて行き、右に少し折れているところを右に曲がって突き当たりを地図では左なのだが。 止む無く店に電話(03-3401-7503)したところ、なにやら違う店の名前で出てきた。「藤屋楽坊」かと聞くと、名前が変わったという。 場所は突き当りを右だったのだ。
今から迎えに行くというので待っていると、看板を持って降りてきたのが店のオーナーだった。 新しい名前は「屋根裏のペトロフ」という。 オーナーについて階段を3階まで上がり、店に入ると中は真っ暗。それをそのまま写したから、下のようになんだか良くわからない映像になってしまったが、左は入り口を入ったところのテーブルで真ん中がカウンター。

右端がチェコ製のPetrofというアップライトピアノ。これが名前の由来だったのだ。 「藤屋楽坊」としてジャズ協同組合のWebサイトに紹介されているが、ジャズだけにこだわらずクラシックも掛けるというので名前を変えたとのこと。そういえば入ったときにはクラシックが掛かっていたのだった。ジャズはと掛けてもらったのがBill EvansのSunday at the Village Vanguard。 Scot LaFaroのベースが締まった音がしてぐいっと前に出てくる。 ピアノも楽器はあまりよくないのだがバランスが素晴らしい。
その音を出しているのがこの装置だ。スピーカーはアルテックのフルレンジだというが、エンクロージャーもないのにこんなに低音まで豊かな音がするのは不思議になる。 真空管アンプに、左の写真のスピーカの下にあるのがナカミチのCDプレーヤー。jこれが7連奏のトランスポートの上に別筐体でDAコンバーターがあり、その右にまた別筐体で電源があるという凄いもの。 トランスポートも振動が伝わるのを防ぐため、CDを入れたら前の扉をネジで締めるのだ。 CDプレイヤーの電源の周りにある黒いのはアッティネーター群。 今はどちらかというとクラシック用に調整してあるというが、ジャズも楽器一つ一つがくっきり浮き出て、ヘレンメリルの歌も前に一歩踏み出した臨場感が素晴らしい。
 調律士によると、ペトロフというピアノは良くないと音が鳴らない楽器が多いというが、ちょっと弾かしてもらったところキータッチが見事に揃っていて、音にも誇張がなくていい音がしている。 倍音が少ないから鳴っていないともいえるが、このスペースで静かに弾くにはちょうど良いのではないだろうか。 ジャズのライブとクラシックのライブが半々ぐらいやっている様だ。
 一時は新譜を追いかけていたというポーランドジャズのCDをあれこれ聴き、クラシックも少し聴いて大満足の夕べだった。 丁寧に入れてくれるコーヒーも美味しい。 (2004/7)
もう閉店している(2010/3)

浅草

Soul Trane
東武線浅草駅から5分ぐらい歩くとビルの2階の窓にJazzと赤く光る
ネオンが見えてくる。ジャズ店探索で胸震える瞬間だ。 表にはJazz & Black Musicの看板が出ている。階段を上がると踊り場にベースが立てかけてある。
中に入ると広いスペースにピアノとドラムがセッティング出来ていて、すぐにでもライブが出来る状態だ。 ピアノはヤマハの古いアップライトで、
木が寄木細工のようになっている。 昭和30年代のピアノだというが、後日調律士に聞いてみると戦前のものではないかという。 ちょっと弾いてみては、という誘いについ乗って音を出してみると、なんだか情けない音しか出ない。 このピアノを一番鳴らしたのは辛島文雄だとマスターはいうが、こっちは月一ピアニストでヘナチョコ指で弾いているのだからちゃんと音が出るはずはない。 しまったと思ったときは既に遅く、アガッテしまってコードを忘れてしまって、しどろもどろになってしまった。 情けないね。
Webサイト もあってライブスケジュールも確認できる。(2004/7)

立川

無庵
中央線立川の北口を降りて西方向に住宅街の路地を抜けていくと、この
「無庵」がひっそりと店を構えているのだけど、道は難しくて教えにくいので、Webサイトにある地図を頼りに行ってもらうしかない。入り口横には契約農家で作らせた有機野菜が売られていて、もちろん出てくる料理にも使われているのだが、昼のコースで3千円から夜のコースだと7千円からだから、ちょっと気軽にとは行かない。 腰があっておいしいそばだけなら、せいろ800円、鴨南そば1500円だから、ジャズ喫茶で高いコーヒーを飲むことを考えたら安いとい

言える。 左は店の構えをイラストにしたこの店のパンフレットだ。店内は広くて石を敷きつめた床だから、冬は底冷えになってしまうのだろう。 薪ストーブが燃えていて風情がある。

真ん中に真空管アンプが置かれたスピーカーが凄い。音量が小さいのがなんとももったいない。 普段はもっぱらCDでジャズやボサノバを流しているようだが、下の写真にあるように薪ストーブのある部屋にはレコードコレクションもある。 下右の写真はまた別の部屋でここにはアップライトピアノが置かれているのでライブも可能。

左は箸袋を延ばしたもの。 有機野菜、蕎麦、ジャズとこだわった店であることが良くわかる。

高田馬場

intro
高田馬場早稲田通りに古くからあるこの店は、今マスターが演奏に燃え
ているらしい。 行ったのは平日の夕方で、たまたま高田馬場から西武線でどこかにいく用事があり、時間が空いていたので入ったのだったが、中に入ると驚いた。ミュージシャンが詰め掛けてセッション中で、普通の席は空いてない。 用事が無ければ参加してもよかった

のだが、あいにく余り時間は無いので入り口は行って左のカウンターでコーヒーを飲む。 ここのマスターはドラムを叩いていて、自分が演奏したいから店のアルバイトも何らかの楽器でジャズができることが条件であると言う話もあるぐらいだ。 しばらく居ると確かにカウンターの中に居たのが楽器を持って参加しに行くではないか。 ピアノ、ギター、アルトサックス、テナーサックスなど次々交代してジャムセッションに参加している。 ウーン時間が無いのが悔やまれる。
店の雰囲気は、おしゃべり禁止の時代そのままで、レコードコレクションも沢山ある。 それもそのはず、ここのマスターは店を始める前は神保町にあったトニーレコードの店員だったこともあり、
ベニーグッドマンなどレコードの趣味が古かった店をモダンジャズがどっさりある店に変えた張本人だったらしい。 このころ我がSeabirdのマスターは神保町の「響」にいて、このトニーレコードでレコードあさりをしていたとのこと。
近くに洋書古本屋The Blue Parrotもできた(2004年4月1日オープン)ことだし、また顔を出してみよう。

柴崎

咲蘭房
京王線に柴崎と言う駅があり、その改札を出てすぐ前に欧風テラスの

ような(といっても欧風とはなんだかよくわからないが)外階段つきの建物がありその2階がこの店だ。レンガ作りの階段を上ると入り口の右には大きな文字で看板が出ている。

中に入ると白熱灯の照明が暖かい雰囲気を出している。


壁に埋め込まれたスピーカーは結構大きい。 あまり大きな音ではないがフランクシナトラのボーカルが 心地よく流れている。 グランドピアノもあるから、ライブも時にはやっているようだ。壁面には楽器も飾ってあるのがうれしい。
コーヒーカップにはサクランボのマークがついている。 カウンターの中の食器棚にはサクランボ模様のカップがいろいろそろっているようだ。

コーヒーを飲みながらジャズをバックグラウンドに本を読むと最高。 こんな店が近くにあるとうれしいのだが。

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