マッチが(残ってい)ないジャズ喫茶(10)

兵庫

伊丹

Stage

兵庫県のJR福知山線伊丹駅駅前のモダンな商店街の入り口にこの
Stageがある。 外観はモダンなカフェテラスなので、ほんとにこれがジャズ喫茶なのか疑ってしまうが、中に入ると真っ黒を基調とした内装にちゃんとジャズがかかっている。真空管アンプでドライブしているスピーカーはJBLのオリンパスで、割と大きな音量で鳴っていると思うけど空間が広いのでおしゃべりに邪魔にならずに心地よい。
カウンターの中にはアンプとCDが。
グランドピアノがあっても悠々の広さ。外を行きかう人々がよく見えるけど、中は暗く外からは見えにくいだろうから落ち着く。 入ってくるお客さんもジャズ喫茶だと意識している人は少ないようだし、メニューもいろいろある。

ジャズ喫茶ですとして、好きな人だけを対象にすると成り立たない時代に、ここまで音とライブ演奏環境を駅前に持って来ているのはいいバランスだと思う。 珈琲も美味しいし、これからも頑張ってほしい。 次回はライブをここで聞いてみたい。

⇒これまた真っ黒なトイレ内部

(2005年8月) 

岩手

一ノ関

Basie

一ノ関のBasieといえば、オーディオファンにも有名なジャズ喫茶で、そのマスター菅原氏の本「ジャズ喫茶「ベイシー」の選択―ぼくとジムランの酒とバラの日々」はオーディオとの格闘、カウントベイシーをはじめたとした内外のミュージシャンとの交流が楽しい本だ。そのベイシーに行ってきたのだ。
今回折角事前に調べておいた地図類を持ってくるのを忘れたのが痛恨の極みだが、ベイシーは地主町だということは覚えていたので一ノ関駅に下りて駅前の地図で確認するとなんとそこに市内の名所のひとつとしてベイシーの名が!!
地主町の通りをまっすぐ行って右に折れるとあったあった。Coffee&Modern Jazzの看板が燦然と輝いている。 入り口の石壁の大きいBASIEの文字が静かに存在を主張している。 外には殆ど音が聞こえない。住宅街だから気を使っているのだろうが本当にあの音が聴けるのだろうかと少し心配になる。
中に入ってみてそれは全くの杞憂だったことがわかる。 暗いのにフラッシュを焚かないからなんだか良くわからないが前に大きなスピーカーが鎮座していて、どかーんと音が出ている。 2枚目に掛かったのがHancockのMaiden VoyageでTony Williamsの切れのよいドラムが目の前にあるようになっていて気持ちがよい。 すごく大きい音なのに全く疲れないのが驚異だ。
蔵を改造したというには奥まで広いスペースで、奥のカウンターの中ではマスターの菅原氏がレコードを掛けている(CDではない)。 前のレコードが終わりそうになると左の上部に飾ってあったレコードジャケットを持ち去り、次に掛けたレコードを飾るそのリズム感が自然で懐かしい。有名ミュージシャンと一緒にマスターが写った写真が沢山張ってあって、中には店のマッチもあるのだが、残念ながら今はマッチは無いそうだ。
これも暗くてなんだか判らないがグランドピアノとドラムセットがゆったりと置かれている。 上はベイシーのマーク入りコーヒーカップなのだが何にも見えないね。

この明るいのはトイレの中。 ライブのお知らせやポスターなどが雑然と貼られているところも良い。 Maiden Voyageの次はBill EvansのInterplayが掛かった。 レコードはRiversideの原盤のようだ。(私も持っているぞ)もっと長いしたいところだが一ノ関には他に2軒ジャズ喫茶があるというので次に行くのだ。
 と、次に住所を頼りに発見したのが駅前のタル。 階段を上がって店を覗いたのだがもう閉店とのこと。ええーまだ6時なのに。残念。 こうなればもう一つのROYCEにとこれは住所がわからず、ベイシーとの位置関係を書いた地図の記憶を頼りに河の向こう側まで行くが見つからない。 ガソリンスタンドで訊くが聞いたことが無いという。電話帳で調べてくれた住所はベイシーより駅寄りでロイズ珈琲店という名だからこれは明らかに違う。 30分ほどうろうろして結局見つからずに断念したのだったが、帰ってから調べるととても歩いていけるような距離ではないところにあり、記憶していた地図がずいぶんと乱暴なものだったことがわかった。 今度また来ることがあればタルと共に制覇したい。
(追記)ここでミルクティーを注文したら、材料がないのでできない。といわれた。 珈琲にはクリームが付いてくるから、東京では良くあるように紅茶にクリームをつけたものでいいと思ったが、無いといわれたら仕方ない、普通の紅茶を頼むとレモンが付いてきた。 別の店でミルクティーを頼んだところなんとウインナティーというべき物が出てきた。 なるほどミルクを泡立てることができないのでベイシーではできないと言われたことがわかったのだった。

(2005年11月) 

埼玉

志木

Bunca
東武東上線で志木駅を降りて志木のタウンマップを頼りに歩くと直ぐ見つ
かる。 表の看板はどちらも普通の喫茶店風だが、階段を上がって扉の前に行くと上にJazzのネオンが輝いている。 店の名前はブンカではなく「バンカ」と読むのだそうだ。 タウンマップの説明によるとその昔日本橋で40年営業していた老舗ジャズ喫茶が移転してきたものだそうだ。
スピーカーはアルテック系のホーンがどーんと鎮座しており、前にある普通の喫茶店風椅子との対比が凄い。 アンプはマッキントッシュのプリアンプメインアンプが存在を主張している。 自家焙煎コーヒーの味と香りを楽しみながら掛かっているレコードはというと、これが勘違いのミシェルルグランだったから残念だ。
スピーカーの右にもレコードがあったが左は入り口横。 右はまた別の棚で、これ以外にもあって約1万枚はあるそうな。さすがは40年の歴史を誇るだけある。 もう少し大きな音でちゃんとしたジャズレコード聴けるともっと良かったが。 今度来ることがあればもっと長居したいものだ。

(2005年6月) 

京都

Jazz inn PONT
京都のジャズスポットを探して歩くのももう20年ぶりぐらいか、四条河原町で「ろくでなし」を見つけたのだが閉まっていたので、10月に閉店する丸善河原町店で手に入れたジャズ批評のジャズ店全国情報で近くて昼間からやっているところと探したのがここ。 新京極四条を上がって行き曲がったところにあったあった。
かわいらしい看板にちゃんとJazzとあり、ビルの外にもJazzinn PONTの看板がある。 その上に藤ジャズスクールと言う看板も出ているが、実はこの店、 Herbie Hancockの研究の草分け的存在の藤井貞泰さんが経営するジャズスクールの事務所でもあるのだ。




2階の入り口を入ると中は明るい店内で、窓の外には今日らしい風情の建物が良く見える。下のレコードとAVシステムの棚の右にはパソコンとプリンタがあり、ここでジャズスクールの事務をやっている模様。 時々楽器を抱えた若者が店に入ってきて直ぐ出て行くのは、ここで出席を登録し、上の階の教室に行くのらしい。

台に乗ったコンパクトなスピーカーから流れる音は意外にしっかりした音で、ジャズを聴きながらコーヒーを飲んで歩き疲れを癒すのはジャズ喫茶巡りの醍醐味なのだ。

(2005年8月) 

大阪

茨木

コル
大阪の阪急茨木市駅から3分ぐらいのところにこの店はもう30年もある。
平屋の一軒家山小屋風のたたずまいも昔のまま。昔は昼間から営業していたが今は夕方かららしい。 中に入ると屋根の傾きがそのまま天井で中もまさに山小屋風。 真っ黒な壁に30年そのままのようなポスターが貼られている。下左のポスターなんぞチェ・ゲバラの
ものは昔見た気がするぞ。 スピーカーの上には骨董がいろいろ。
メニューにはこれは暫定メニューである旨書かれている。暫定とは何かというと2005年2月に店の

マスターが倒れて入院、今リハビリ中だというので常連のお客さんが交代で店を守っているとのこと。 だから営業時間も夕方からということらしい。
 掛かっていたのはJohnColtraneのChim Chim Cherryだが、なぜかこの店に居る間中、この一曲だけが何度も流れている。 30年で変わったのはCDが入っただけという、そのCDプレーヤーがリピートに設定されているのであろうが、他のお客さんが何も言わないのでそういうルールになっているのかも知れず黙っていたのだった。(2005年3月) 

  inserted by FC2 system