マッチが(残ってい)ないジャズ喫茶(14)

大阪香里園

Blue Lights
大阪市地下鉄御堂筋線の淀屋橋、またはJR環状線の京橋から京阪電車に乗って香里園駅で下車、バスで10分ぐらいの東香里病院前で降りる
と、バス停の前に店の看板が出ている。(実はこれは帰りに気が付いたのだが) 何にもなさそうな住宅街をどんどん歩く
と右上の看板が見えてくる。そこを右に曲がると白い外壁の三角屋根の店が見える。店の左奥が自宅になっているようだ。2階もそうかもしれない。中に入ると広いスペースにどーんとコンクリートホーンのスピーカーが鎮座している。音源はアナログレコードで針ノイズは聞えているけど、その圧倒的音量が凄い。空間が広くてそこに音が広がっているから大音量でもそんなに大きな音とは思えないほどで全く疲れない。使っている装置は店のウェブページに詳しく書かれていて、この装置を作ることにした
顛末がブルーライツが出来るまでという文章にあり非常に面白い。定年になってから
これを造られたというから凄いね。コーヒーの注文をするとマスターがレコードリストを持ってこられリクエストは?と聞かれる。懐かしいね。そのリストはスイングジャーナルの別冊のジャズ名盤のリストに赤いシールが張ってあるレコードが置いてあるというのだ。 ジャケットとメンバー、曲目も確認できるから便利だ。ビル絵バンスのピアノとスコットラファロのベースが聞きたくてSunday at the Viollage Vanguardをリクエストした。ベースが前に躍り出て来てわくわくする。後ろの壁にはElvin Jonesのサインが飾られている。そうだElvinのドラムも聴きたいから今度はColtrane
のインパルス盤Coltraneをリクエストする。 Elivinのバスドラムが気持ちいいけど録音の所為でドラムとベースが奥に引っ込んでいるのが惜しい。こんな楽器の配置が具体的にスピーカーの前にくっきり分かってしまうのがさすがだ。
リクエストするとこうして踏み台に乗ってレコードを取り出してくれるマスター。
オーディオルームの後ろには真空管アンプ群が並んでいる。何背たくさんのスピーカーを鳴らすのだからアンプの数も半端じゃない。
ちょっと離れたところにあるけど、時間の余裕をなんとか作って是非行くべきジャズ喫茶だ。
(2007年3月) 

西新井

Cafe Clair
常磐線北千住から東武伊勢崎線で4駅、西新井駅を降りて、駅前ロータリーの向こうにはなにやら大きな開発をやっている現場があって、その横
の道をまっすぐ、ほとんど店がありそうにない道を行くと横の道にぶち当たるのでそれを左に折れ、次の商店街を右に曲がるとこれが関原(せきばら)銀座という昔ながらの商店街だ。それをずんずん行って右に交番がある
ところで左に曲がると直ぐこの白い建物が見える。この奥が自宅になっているようだ。うらやましい。中には大きなテーブルと4人がけテーブルが3つあるけど、ゆったりとした置き方だ。奥にはグランドピアノがあって、ライブのときにはその横にドラムを置くのだろうけど、余裕のスペースだね。
絵も飾ってあってギャラリーのような雰囲気がいいね。自家焙煎コーヒーだそうで、ロゴ入りコーヒーカップとソーサーで飲むコーヒーは美味しい。
ウェブページもあって土日にプロのライブがスケジュールされているようだ。1986年オープンだと言うから、もう20年を過ぎているんだね。
(2007年3月) 

神保町

喫茶去

神田神保町にジャズボーカルを聞かせる喫茶店があるという情報が
有って、2006年の12月に行ってみたのだが、残念ながら閉まっていた。2007年になってから、ネット上でわかった情報では、この喫茶店「喫茶去(「きっさこ」と読み、茶道で使う禅語で「よう来られた、まあお茶でもどうぞ」という意味だそうだ)は経営者が2006年9月に亡くなり、店を閉めていたところ、十条でジャズ喫茶「響」をやっていたマスターがジャズ喫茶として引き継いだのだそうだ。12月に契約したというから、私が閉まっているのを見たときにはもう契約済みだったかも知れぬ。 神保町交差点から白山通りの左側を水道橋方面に歩き、トニーレコードを向かいに見る角を左に曲がり、一筋目を左に曲がる。つまり神保町方面に少し戻る左側にある。
木造一軒家2階建てで、とてもジャズ喫茶というたたずまいではなく、中に入ると軋む木の床と塗り壁に和紙の壁。入った直ぐ横にスピーカーが快適にジャズを流しているから、ほっとする。最初に行ったときにはこのようにまだ開店祝いの花がたくさんあった。
 コーヒーは煎り具合が浅いのから深いのまで種類があって一番深煎りのイタリアンブレンドが眠気を吹き飛ばしてくれる。ジノリやウェッジウッドなどのコーヒーカップで贅沢に飲めるのがうれしい。店は朝8時から開いているというからジャズ喫茶としては驚きの早起きだが、夜の早い神保町だから閉店は夜8時。日曜祝日は12時から夕方6時までだ。
カウンターの左にオーディオ装置があって、レコードもその辺りにあるようだが、そんなにたくさん置くスペースはないように見える。左の写真に見えるジャケットはご存知Sonny RollinsのLive at the Village Vanguard、下の写真に見えるのはStan GetzのIn Sweden。60年代以前のジャズが多いようだ。CDもある。
木造2階建てで、2階に上る急な階段が見える。ここは3名以上でないと使えないとあるのだが、どんな空間なのだろう。一度覗いてみたいものだ。手前に見える木の箱のようなものに隠れているのはレジで、金額表示は見えるものの、主張しない程度に隠れているのが好ましい。椅子はクッションが適度に効いていて、ジャズを聴きながらコーヒーを飲みつつ、本を読むのにも疲れないのがいいね。
ちょっと小腹がすいたときには、レアーチーズケーキか和菓子(どらやき)300円也もあるのがうれしい。まだ食べてないけど。
照明もレトロで笠が一つ一つ違うのだ。
壁に浮き出た模様がわかるかな。カウンターの上の壁。や左の写真の奥側。右の写真の左側に見えるのも風情があっていいぞ。

(2007年1月) 

→建物の老朽化で壊し、跡地に立ったビルの一階にまた開店したが、残念ながらクラシック喫茶になってしまった。

新百合ヶ丘

Lost&Found

2011年1月末で閉店予定。オーディオ装置との格闘が大変だったようだが、ジャズではない音楽が掛かるようになって、交通費と時間を掛けて行くのにがっかりしたことがあって、その恐怖で行けなくなってしまった。(2011年1月)

新百合ヶ丘に新しいジャズ喫茶ができたというニュースを聞いて勇躍小田
急に飛び乗り、改札口を出て右へ、エスカレーターを降りて駅前のバス乗り場で白山4丁目(始めはわからないのでシロヤマですかと聞いてしまったがハクサンだった)行きのバスはどれですかと聞いてバスに乗り込んだ。10番、15番、17番、19番のどれかのバスに乗って10分ぐらいの駅で降りると団地の真ん中。バス停は切り立った崖の前にあって、道路を渡ったところに駐車場があり、車の出入り口の左の細い通路を入り、まっすぐ行く。しばらく行くと右側に下に降りるエスカレータが見えてきた。よしよしこれこれと、エスカレーターを降りるが店にはシャッターが下りていて、どれがジャズ喫茶かも皆目見当が付かない。あの情報はガセだったのだろうか、それとももう閉店してしまったのだろうか。とぼとぼと帰路について家でインターネット検索してみると、この商店街は火曜日休みとのことで、このジャズ喫茶Lost&Foundのページhttp://www.asaosyouren.com/praza_folder/jazz.html もちゃんとあるではないか。よかった。というわけで翌日もう一度行って見ると、エスカレーターを降りた直ぐ左側にあった。中は木の床で正面のスピーカーから心地よくジャズが流れている。カリモクの
ものらしい椅子が五脚とイームズの安楽椅子が一脚。入り口の直ぐ右のカウンターに三脚と全部で9人も入ったら一杯というゆったりしたつくり。アナログレコードとCDが整然と並べられていてうれしい。ジャズ関連の雑誌や本も並んでいるようで、吹き抜けたその上には本棚もある。まだまだたくさん入る空きがあるのが頼もしいね。上の本棚の前には立ちスペースがあるのだがそこにはどう
やって登るのだろうか。どこかに梯子が隠れているのだろうね。立ちスペースの右のほうにはミッドレンジのホーンスピーカーが置いてある。いかなる変遷があるものやら。
コーヒーは400円!!という一昔前の値段で、下の写真のミルクと一緒にある黒いのはチョコレートだ。肘付き椅子に座ってコーヒーとチョコレートを味わいながらジャズ
を聴き、本を読むという至福の時間を過ごすことができる。向かって右側の壁は市松模様のしゃれたもの。 レコードプレイヤーは2種類が稼動している。かかるレコードがまた渋い。 若い女性がママさんなのが不思議なほどのレコード選びで、知らないレコードが次々と掛かるのがびっくり。もっと近くにあればたびたび来るところだが。

上に載せたWebページは商店街の作ったセンスの無いものだとママさんから指摘を受けたのでマウントハウゼンさんのページのURLを載せて置こう。

http://www.h4.dion.ne.jp/~j.orange/jazz_kittsa_junnrei_lostandfound.html

(2007年1月) 

新宿

はいから亭

2010年3月に閉店し、オーディオ装置は吉祥寺にオープンしたFoxholeに引き継がれたらしい。(2011年1月)

ジャズ批評社から出ている全国のジャズ喫茶の一覧本は今まで重宝していて、それを全国出張していたころはそれを片手にジャズ喫茶を捜し歩いたものだった。 しばらく出てなかったその本が2005年に「日本列島ジャズの店2005年版」として出たときは狂喜したのだが、不正確なところもあるし、出ていない店もたくさんあるので不満はあったのだがそれでも知らない店もたくさん載っているからありがたい。そのうちの一つがこの店。
新宿と言っても代々木西口から北に向かって歩いていくと甲州街道にぶつかる手前の左側にあり、住所は渋谷区代々木なのだ。Jazzの文字もうれしいネオンが出ていて、階段を下りようとすると正面にはこのしゃれた看板が出ている。
スピーカーはアルテックのA5がなんと天井から吊り下げられている。こうすると低音が物足らなくなったりするものだが、後ろのレンガ壁にくっついている所為か、そんなにやせた感じはしない。 まだ開店直後と言う時間だったからか、テーブルについてから音が流れ始めた。 スリリングな瞬間。 大きな音量ではないけど聞きやすくて、コーヒーを飲みながらすっかりくつろいでしまう。
店の中は暗くてこの当時持っていたデジカメ(ISO400程度でフラッシュを焚かないようにしている)の明るさではこのぐらいにしかならない。(今はISO1600のものを使っているのだけど)左はレコードルーム、右はグランドピアノだ。

CDを掛け、コーヒーを出し終わると、カウンターの上にどっさり置いてあった切花をアレンジし始めた。左の写真が完成したもの。 カウンターの真ん中に鎮座して向こうが見えないサイズだから凄い。 今日はたまたま花の取替え日だったのか、それとも毎日花を活けているのか聞かなかったが、これが完成するまでに30分以上はかかったと思う
から大変な労力だ。それが終わると今度はテーブルの一輪挿しの花の取替えだ。左のようなチューリップと右のような小さな花のものの2種類。 今度は演奏があるときに来て見たいね。

(2005年9月) 

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